本は好きだが、読書は苦手。

半年に1回、更新が目標

面白かった漫画 3作 『雨天の盆栽』『女子かう生』『いい百鬼夜行』

 

 

たまたま見つけた漫画の中から、「これいいなぁ」と思った作品を紹介しています。

 

 


 目次

 1、非凡な盆栽マンガ 『雨天の盆栽

 2、セリフが無い!  『女子かう生

 3、情に厚い妖怪たち 『いい百鬼夜行

 

 

 


1、雨天の盆栽 (つるかめ 著、マッグガーデン、2017年~、既刊2巻)

  

雨天の盆栽 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

雨天の盆栽 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

 

 http://mag-garden-store.com/shopdetail/000000001758


試し読み

https://comic.mag-garden.co.jp/utenbonsai/
1話~3話が読める。

 

盆栽を通して成長していく女子高生たちの青春物語。

本書を購読しようと思った理由は、盆栽のことを学べそうだと思ったから。
どんな世界なのだろうかと、ちょっと気になった。
読み始めると、盆栽のことより、まず作者の画力に魅かれた。
要所要所で描かれる絵はとくに見ごたえがあり、吸い込まれる。
登場人物たちのドラマは読み応えがあり、テンポも良い。
もちろん、期待していた盆栽の知識や魅力も知れて満足。
男女ともにオススメできる作品だと思う。


あらすじ

日々、なんとなく息苦しさを感じる女子高生、小日向楓(こひなた かえで)。
彼女の前を、ある女子高生が颯爽と通りすぎる。
彼女の名は雨宮雨天(あまみや うてん)。
楓と同じ学校の同級生で、「サイコパス」だと噂されている。
しかし楓は、堂々と振舞う彼女のことが気になり、放課後、あとをつけてみる。
雨天はある教室に入っていく。
こっそり覗いた楓が目にしたのは、ハンマーを持つ雨天の姿。
楓は驚き、とっさに止めに入る。
すると、そこには盆栽と対峙する雨天がいた――。



とまぁ最初はこんな感じ。
こうして楓と雨天、そして盆栽との出会いがあり、物語が動き出す。

完璧なように見えた雨天も、実は楓と同じように息苦しさを感じていて、
それを解放してくれるのが盆栽だという。
心から盆栽を愛おしむ雨天に感銘を受け、楓は盆栽と雨天に惹かれていく。

ここから、雨天の実家に極秘訪問したり、新たなキャラクターが登場したり、
楓が「盆栽部」を提案したりと、テンポよく進んでいく。
軽快で、読み心地が良かった。

そうして、少しずつ心が近づいていく彼女たちであったが、
終盤、「波乱」が起きる(成長物語の通過儀礼ですな)。
あることがキッカケで、楓と雨天の心は離れていってしまう。

しかしそこは成長物語。
これまた、あることをキッカケにして修復されていく。
その修復のキッカケとなる「ある行為」が意表をついていて、
個人的に好きなシーンのひとつ(p.155)。
いわゆる「荒療治」ってやつかな。


そんなわけで、盆栽、絵、ストーリー、キャラクターと、たくさんの魅力が詰まった作品だと思う。
自分は1巻しか読んでいないので、続刊も面白さが続いているかどうかはわからない。
ただ、この1巻だけでも十分綺麗にまとまっていて面白かった。
久々に、まっすぐな成長物語を読んだ気がする。*1

 

 

 

 


2、女子かう生 (若井ケン 著、双葉社、2014年~、既刊7巻)

 

女子かう生(1) (アクションコミックス)

女子かう生(1) (アクションコミックス)

 

http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-84388-0.html


試し読み
http://webaction.jp/webcomic/joshikausei/

 

 

先程の作品は、盆栽を愛でる女子高生が主役だったが、
本作は、恥ずかしげもなく三角コーンを股にはさむ女子高生 *2 が主役の、日常系マンガ。


そんな彼女の奔放さも本作の魅力のひとつなのだが、
最大の特徴は「サイレント」なところ。*3

具体的にどう「サイレント」なのかというと、
わたあめみたいな噴き出しのセリフが(ほぼ)無い。*4


タイトルや表紙からは想像がつかないと思う。
だから、ページを繰って驚いた。

「セリフ無しでストーリーは成立するの?」といった疑問が思い浮かぶかもしれない。
でも、パントマイムが面白いように、セリフがなくても行動だけで十分面白いし、成立する。


本作は、どちらかといえば男性向けの日常マンガかと思う *5 が、女性でも楽しめると思う。
なぜなら、基本的に、ほのぼのとした女子高生たちの日常や友情を描いているから。
だから、のんびりと眺められるだろう。*6


蛇足だが、
ふと、この作品をアニメにできるだろうかと考えた。
たまに、日常系アニメで1話だけサイレント回をしているのを見かける。*7
ただ、全話を通してセリフ無しは可能だろうか。*8
うーん。やっぱり「声優の必要性がない」というのがネックかもね。
でも、ウェブ限定公開ならできるかも。
最近だと『タヌキとキツネ』のアニメ版がYouTubeで公開されたが、声優はいない。
本作もいつかアニメ化されることを願って気長に待ちたい。

 

 

 

 

 


3、いい百鬼夜行 (川西ノブヒロ 著、講談社、2016年、全1巻)

 

いい百鬼夜行

いい百鬼夜行

 

 http://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000221826

試し読み
https://twitter.com/hashtag/%E3%81%84%E3%81%84%E7%99%BE%E9%AC%BC%E5%A4%9C%E8%A1%8C?f=images&vertical=default&src=hash
(元々、講談社Twitterで連載されていたので、今でもいくつか見られる。ただしネタバレ注意)



優しくて愉快な妖怪たちとの交流譚。

本書を見つけたときは、まず「全ページカラー」というのに魅かれた。
しかも表紙はキラキラ。目が痛くなるほどの。
でも、そのインパクトに反し、中身は優しいほのぼの奇譚。
クスクスと笑うこともあれば、目頭が熱くなることも。
四コマギャグ漫画でもあり、ストーリーマンガでもある。

そんな本作は、なによりもまずキャラクターたちが魅力的。
妖怪や幽霊といえば、悪さをするイメージだが、
この漫画では優しくて愛らしい存在として登場する。

たとえば、
泣いてる子がいれば、すかさず駆けつけてフォローする「いいなまはげ」。
彼(?)は、本作における最大の良心。
涙のワケを聞き、解決策を提案したり、手伝ってくれる。
顔はとんでもなく怖いが、心はとんでもなく優しい。

他にも、彼に負けず劣らず、クセの強い妖怪が出てくる。

生きていくため仕方なく、ねこカフェで働く「ねこまた様」。
彼(?)は可愛がられたいのだが、猫又ゆえに敬われたり。
なまじっか人の言葉が話せるので、動物たちの通訳を頼まれたり。
そんな「猫又はつらいよ」的な言動に、クスッと笑ってしまう。

また、
死んでから生を感じるポジティブな「女子高生幽霊」も出てくる。
人の行きかう往来でスカートを脱いでドキドキしたり、男湯に入ってドキドキしたり。
それだけ書くと、ただの変態に思われるかもしれないが、
実は、彼女は本作における裏の主人公……と、勝手に私が思っている。
彼女については色々言いたいことがあるけれど、ネタバレになるので書けない。

ほかにも、
新米警察官に憑く(懐く?)カワイイ座敷童がいたり。*9
池に引きずりこもうとするペンギン風のカッパが登場したり。*10


このように、キャラクターたちはみんな愛らしい。
彼らの一生懸命な行動を見ていると、クスッと笑えて、だけど心が温まる。
こんなに優しい漫画を読んだのは久々だった。

 

 

 

 

あとがき

アラサーに突入してから、バトル系やシリアス系の漫画には手が伸びなくなりました。
なぜかはわかりません。
でも、日常系や優しい内容の漫画には手が伸びるようになりました。
アラサーになると、癒しの必要量が増えるからかもしれません。

  

 

 

*1:蛇足だけど、アニメ化するなら雨天は雨宮天さん、楓は本渡楓さんが名前的にぴったりだなと思う。

*2:ずっと挟んでいるわけではない

*3:漫画なんだからサイレントに決まってるじゃないかと言われれば、返す言葉が無い…

*4:あっても「……」とか「ウホウホ」とか

*5:フェティシズム描写の強い回がいくつかある

*6:ドロドロ・ギスギスした展開はまず無い。ここ重要。

*7:『日常』の第17話や、『ゆるゆり』3期の8話とか

*8:確か、ディズニー映画の『ファンタジア』はほぼセリフが無く、音楽とアニメだけで成立していた

*9:一見邪魔をしているようだが、警官の心の支えとなっている

*10:悪さのように思えるが、実はある理由が