本は好きだが、読書は苦手。

半年に1回、更新が目標

面白かった漫画 3作 『古見さんは、コミュ症です。』『ロロッロ!』『あの人の胃には僕が足りない』

 

 

 

目次


1、 『古見さんは、コミュ症です。
2、 『ロロッロ!
3、 『あの人の胃には僕が足りない

 

 

 

 


1、古見さんは、コミュ症です。

オダトモヒト小学館週刊少年サンデー、2016~、既刊12巻)

 


試し読み

https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091273437

 

 

学園ラブコメであり、友情物語でもある。
オッサンだけど、キュンキュンしてしまった。

 


新入生、古見硝子(こみ・しょうこ)は、容姿端麗&沈黙寡言。
いわゆる超クールビューティ。
登校初日なのに、すでにクラス中からあがめたてまつられている。


実は彼女、極度のコミュニケーション下手で、人と話すことが大の苦手。
それゆえ、話しかけられてもパニックとなり、黙り込んで相手を凝視してしまう。
しかし美しいがゆえに、まわりは彼女を神聖視(神格化)する。
よもや彼女が「コミュ症」などとは思いもしない。


……なんだけど、ただ一人、違和感に気づく。
それがもう一人の主人公、只野仁人(ただの・ひとひと)。
(可哀想なほど)普通のキャラクター*1
そんな彼はあろうことか、学校のマドンナ*2古見さんの隣の席に座ることとなる*3


彼女と会話しようにも全くうまくいかない。
もしかして、彼女はコミュニケーションが苦手なのかもしれない。
そう問いかけてみると、
古見さんは教室の後ろの黒板に、おそるおそるチョークで文章を書き始めた――。

 

とまぁ、ここから古見さんのコミュ症克服(友達づくり)&学園ラブコメが始まっていく。

 

古見さんはコミュニケーションが苦手だけど、友達が欲しい。
その目標を達成させてあげるべく、只野くんが古見さんの気持ちを汲み取ってあげる。
少しずつだが、クラスメートと打ち解けあっていく。

 

ただ、周りは癖の強い人間ばかりで、そうすんなりとはいかない。
いつも只野くんが被害をうける。まぁ仕方ない(ごめん)。

 

そんな、持ちつ持たれつの関係である、只野くんと古見さん。
そりゃあ、お互いを意識しないわけがない。
巻を重ねるごとに、只野くんと古見さんを結ぶ赤い糸が少しずつ太くなっていく。

 

古見さんは恥ずかしがり屋でもあるので、ちょっとしたことですぐ顔を赤らめる。
そのしぐさが、ああもうこんちくしょう!と言いたくなるほど可愛らしい。
(あのシーン、このシーンが素晴らしいと言いたいのだけれど、ネタバレになるので書けない。)

作者さんは男心のツボをよ~くわかっていらっしゃる。
只野くんが心底うらやましい。

 

ピュアなラブコメが好きな方には、おすすめです。

 

作者(オダトモヒト)のツイッター
https://twitter.com/ooodaaaatooo

 

 

 

 

 

 

 

2、ロロッロ!

桜井のりお秋田書店週刊少年チャンピオン、2018~、既刊4巻)

 


試し読み
https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253226566

 

一言でいうなら、ドタバタ・ロボット・(ちょっとハレンチ)コメディ。

 

見るからに怪しい格好の父親(博士?)が制作した、女性型ロボット、炉端イチカ
博士の一人娘、森繁ちとせ(12)の友達として造られた。
しかし、披露されたロボットは口をガムテープでふさがれ、まるで誘拐された少女のよう。
娘は顔面蒼白となり、行方不明者のリストを確認する。

 

そんなドタバタシーンから始まる。

 

衝撃的なシーンを見たからか、ちとせはイチカがロボットだということを信じていない。
誘拐されたと思っているので、隙あらば警察に通報しようとする。
イチカはなんとか自分はロボットだと彼女に信じてもらうべくあれこれ試す。
しかし、ぽんこつ機能ゆえ、突然全裸になったり、なぜか乳首だけが取り外しできたりで、信頼度は落ちる一方。
ロボットだと少しは信じてもらえたかと思いきや、またもやぽんこつ機能のせいで性癖を疑われ、引かれる一方。

 

本作は、1話につき10ページほどなので、非常にテンポがよく、かつ面白い。

 

ふと、「下品なアラレちゃん」という例えが思い浮かんだが、
そういえば、アラレちゃんも充分下品だった。
たぶん、ドクタースランプが好きな人なら、本作も楽しめると思う。

 

 

作者(桜井のりお)のツイッター
https://twitter.com/lovely_pig328

 

 

 

 

 

 


3、あの人の胃には僕が足りない

(チョモラン、講談社モーニング・ツー、2018~、既刊2巻)

 

あの人の胃には僕が足りない(1) (モーニングコミックス)

あの人の胃には僕が足りない(1) (モーニングコミックス)

 

 
試し読み
http://morning.moae.jp/lineup/942

 

 

タイトルに惹かれて読む。
まず絵が素晴らしくて、どんどん惹きこまれ、ページを繰る手が止まらなかった。

 

内容的には、バトル&ラブコメ?なのかな。
作品中でも、登場人物が「この作品ってラブコメなのかな?」と疑問を呈している。
あと、ロー・ファンタジー(現実世界に異質な存在が登場する感じ)でもある。

 

主人公は、中学三年生の舟次蒔絵(ふなつぎ・まきえ)。 
毎朝会う高校二年生の満腹(みつはら)さちに恋をしていた。
彼女はなぜか蒔絵に近づくと、いつも腹の音が鳴る。

 

実は、満腹さちは「ワタリ」と呼ばれる「人ならざるもの」で、人間に姿を変えていることを蒔絵は知る。
どうやら蒔絵は「ワタリ」たちが好む匂いを発しているらしく、彼を食べにくる。
満腹さちも「ワタリ」の一種なのだが、なぜか彼に味方し、他のワタリを退治してくれた。
ただ、彼女は蒔絵を食べたい欲求と葛藤しているらしく、なんとかこらえている模様。
彼女が蒔絵と出会うといつも腹を鳴らせていたのはそれが理由だった。

 

普通のラブコメと違うのは、ヒロインが主人公を(比喩ではなく)食べたいと思っているところ。
あまり無いアイデアで面白い。

 

そして、個人的に好きなのは、ラブロマンスの要素。
満腹さちは「ワタリ」ゆえか、あまり恋愛関係のことは分かっていない様子。
だけれど、彼女は蒔絵を「おいしそう」と思っているので、ぐいぐい彼に近づく。
蒔絵はそれに慌てふためく――。
という感じで、イチャコラしてますわ。
それがまぁ、いいんですよ。

 

自分はあまりバトル系は読まないが、本作は恋愛の要素の比重がそれなりに大きく、
その点が気に入って、読み進めたのだと思う。

 

あと、絵が本当に素晴らしくて、それが本作に惚れたもうひとつの理由。
余白の多いコマであっても、絵に力があるので、迫力というか存在感が出る。
それに、あまり詳しくないが、コマ割りが綺麗でスムーズに読み進められる。


個人的に意外だったのは、本作が「モーニング・ツー」で連載されていること。
内容的には、少年ジャンプとか少年マガジンで連載されていても違和感はない。


現在2巻まで刊行されている(2019年6月に第3巻が出る)。
まだ始まったばかり、という感じ。
長期連載となるのか、パパっと収束するのか。
今後の展開がどうなるかわからないが、ますます面白くなることを期待しています。

 

 

 

作者(チョモラン)のツイッター
https://twitter.com/huusen_uri


「あの人の胃には僕が足りない」公式アカウント
https://twitter.com/anohitonoiniwa

 

 

 

 

 

 

 

*1:表紙ではいつも目立たない

*2:のちに「神」

*3:そのせいで、嫉妬による陰口、罵詈雑言、さらに隙あらば忍者?に命まで狙われる始末

面白かった漫画 3作 『雨天の盆栽』『女子かう生』『いい百鬼夜行』

 

 

たまたま見つけた漫画の中から、「これいいなぁ」と思った作品を紹介しています。

 

 


 目次

 1、非凡な盆栽マンガ 『雨天の盆栽

 2、セリフが無い!  『女子かう生

 3、情に厚い妖怪たち 『いい百鬼夜行

 

 

 


1、雨天の盆栽 (つるかめ 著、マッグガーデン、2017年~、既刊2巻)

  

雨天の盆栽 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

雨天の盆栽 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)

 

 http://mag-garden-store.com/shopdetail/000000001758


試し読み

https://comic.mag-garden.co.jp/utenbonsai/
1話~3話が読める。

 

盆栽を通して成長していく女子高生たちの青春物語。

本書を購読しようと思った理由は、盆栽のことを学べそうだと思ったから。
どんな世界なのだろうかと、ちょっと気になった。
読み始めると、盆栽のことより、まず作者の画力に魅かれた。
要所要所で描かれる絵はとくに見ごたえがあり、吸い込まれる。
登場人物たちのドラマは読み応えがあり、テンポも良い。
もちろん、期待していた盆栽の知識や魅力も知れて満足。
男女ともにオススメできる作品だと思う。


あらすじ

日々、なんとなく息苦しさを感じる女子高生、小日向楓(こひなた かえで)。
彼女の前を、ある女子高生が颯爽と通りすぎる。
彼女の名は雨宮雨天(あまみや うてん)。
楓と同じ学校の同級生で、「サイコパス」だと噂されている。
しかし楓は、堂々と振舞う彼女のことが気になり、放課後、あとをつけてみる。
雨天はある教室に入っていく。
こっそり覗いた楓が目にしたのは、ハンマーを持つ雨天の姿。
楓は驚き、とっさに止めに入る。
すると、そこには盆栽と対峙する雨天がいた――。



とまぁ最初はこんな感じ。
こうして楓と雨天、そして盆栽との出会いがあり、物語が動き出す。

完璧なように見えた雨天も、実は楓と同じように息苦しさを感じていて、
それを解放してくれるのが盆栽だという。
心から盆栽を愛おしむ雨天に感銘を受け、楓は盆栽と雨天に惹かれていく。

ここから、雨天の実家に極秘訪問したり、新たなキャラクターが登場したり、
楓が「盆栽部」を提案したりと、テンポよく進んでいく。
軽快で、読み心地が良かった。

そうして、少しずつ心が近づいていく彼女たちであったが、
終盤、「波乱」が起きる(成長物語の通過儀礼ですな)。
あることがキッカケで、楓と雨天の心は離れていってしまう。

しかしそこは成長物語。
これまた、あることをキッカケにして修復されていく。
その修復のキッカケとなる「ある行為」が意表をついていて、
個人的に好きなシーンのひとつ(p.155)。
いわゆる「荒療治」ってやつかな。


そんなわけで、盆栽、絵、ストーリー、キャラクターと、たくさんの魅力が詰まった作品だと思う。
自分は1巻しか読んでいないので、続刊も面白さが続いているかどうかはわからない。
ただ、この1巻だけでも十分綺麗にまとまっていて面白かった。
久々に、まっすぐな成長物語を読んだ気がする。*1

 

 

 

 


2、女子かう生 (若井ケン 著、双葉社、2014年~、既刊7巻)

 

女子かう生(1) (アクションコミックス)

女子かう生(1) (アクションコミックス)

 

http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-84388-0.html


試し読み
http://webaction.jp/webcomic/joshikausei/

 

 

先程の作品は、盆栽を愛でる女子高生が主役だったが、
本作は、恥ずかしげもなく三角コーンを股にはさむ女子高生 *2 が主役の、日常系マンガ。


そんな彼女の奔放さも本作の魅力のひとつなのだが、
最大の特徴は「サイレント」なところ。*3

具体的にどう「サイレント」なのかというと、
わたあめみたいな噴き出しのセリフが(ほぼ)無い。*4


タイトルや表紙からは想像がつかないと思う。
だから、ページを繰って驚いた。

「セリフ無しでストーリーは成立するの?」といった疑問が思い浮かぶかもしれない。
でも、パントマイムが面白いように、セリフがなくても行動だけで十分面白いし、成立する。


本作は、どちらかといえば男性向けの日常マンガかと思う *5 が、女性でも楽しめると思う。
なぜなら、基本的に、ほのぼのとした女子高生たちの日常や友情を描いているから。
だから、のんびりと眺められるだろう。*6


蛇足だが、
ふと、この作品をアニメにできるだろうかと考えた。
たまに、日常系アニメで1話だけサイレント回をしているのを見かける。*7
ただ、全話を通してセリフ無しは可能だろうか。*8
うーん。やっぱり「声優の必要性がない」というのがネックかもね。
でも、ウェブ限定公開ならできるかも。
最近だと『タヌキとキツネ』のアニメ版がYouTubeで公開されたが、声優はいない。
本作もいつかアニメ化されることを願って気長に待ちたい。

 

 

 

 

 


3、いい百鬼夜行 (川西ノブヒロ 著、講談社、2016年、全1巻)

 

いい百鬼夜行

いい百鬼夜行

 

 http://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000221826

試し読み
https://twitter.com/hashtag/%E3%81%84%E3%81%84%E7%99%BE%E9%AC%BC%E5%A4%9C%E8%A1%8C?f=images&vertical=default&src=hash
(元々、講談社Twitterで連載されていたので、今でもいくつか見られる。ただしネタバレ注意)



優しくて愉快な妖怪たちとの交流譚。

本書を見つけたときは、まず「全ページカラー」というのに魅かれた。
しかも表紙はキラキラ。目が痛くなるほどの。
でも、そのインパクトに反し、中身は優しいほのぼの奇譚。
クスクスと笑うこともあれば、目頭が熱くなることも。
四コマギャグ漫画でもあり、ストーリーマンガでもある。

そんな本作は、なによりもまずキャラクターたちが魅力的。
妖怪や幽霊といえば、悪さをするイメージだが、
この漫画では優しくて愛らしい存在として登場する。

たとえば、
泣いてる子がいれば、すかさず駆けつけてフォローする「いいなまはげ」。
彼(?)は、本作における最大の良心。
涙のワケを聞き、解決策を提案したり、手伝ってくれる。
顔はとんでもなく怖いが、心はとんでもなく優しい。

他にも、彼に負けず劣らず、クセの強い妖怪が出てくる。

生きていくため仕方なく、ねこカフェで働く「ねこまた様」。
彼(?)は可愛がられたいのだが、猫又ゆえに敬われたり。
なまじっか人の言葉が話せるので、動物たちの通訳を頼まれたり。
そんな「猫又はつらいよ」的な言動に、クスッと笑ってしまう。

また、
死んでから生を感じるポジティブな「女子高生幽霊」も出てくる。
人の行きかう往来でスカートを脱いでドキドキしたり、男湯に入ってドキドキしたり。
それだけ書くと、ただの変態に思われるかもしれないが、
実は、彼女は本作における裏の主人公……と、勝手に私が思っている。
彼女については色々言いたいことがあるけれど、ネタバレになるので書けない。

ほかにも、
新米警察官に憑く(懐く?)カワイイ座敷童がいたり。*9
池に引きずりこもうとするペンギン風のカッパが登場したり。*10


このように、キャラクターたちはみんな愛らしい。
彼らの一生懸命な行動を見ていると、クスッと笑えて、だけど心が温まる。
こんなに優しい漫画を読んだのは久々だった。

 

 

 

 

あとがき

アラサーに突入してから、バトル系やシリアス系の漫画には手が伸びなくなりました。
なぜかはわかりません。
でも、日常系や優しい内容の漫画には手が伸びるようになりました。
アラサーになると、癒しの必要量が増えるからかもしれません。

  

 

 

*1:蛇足だけど、アニメ化するなら雨天は雨宮天さん、楓は本渡楓さんが名前的にぴったりだなと思う。

*2:ずっと挟んでいるわけではない

*3:漫画なんだからサイレントに決まってるじゃないかと言われれば、返す言葉が無い…

*4:あっても「……」とか「ウホウホ」とか

*5:フェティシズム描写の強い回がいくつかある

*6:ドロドロ・ギスギスした展開はまず無い。ここ重要。

*7:『日常』の第17話や、『ゆるゆり』3期の8話とか

*8:確か、ディズニー映画の『ファンタジア』はほぼセリフが無く、音楽とアニメだけで成立していた

*9:一見邪魔をしているようだが、警官の心の支えとなっている

*10:悪さのように思えるが、実はある理由が

(疑問) 親潮は、なぜ栄養が豊富なのか、調べてみた。


 

親潮は、栄養分が多く、魚介類を育てるため「親」潮と呼ばれる、
という説明を見かけた。
ただ、なぜ栄養が豊富なのか、理由が書かれたものはあまりない。
あったとしても、出典が記されていないか、英語の論文ばかり。
そこで、本などで調べてみた。

 


注意

自分は専門家でも研究者でもないので、正確かどうかはわかりません。
根本的に間違っている可能性も大いにあります。
あしからず。

 

 

目次

1、  まとめ
2、  まとめの具体的な説明
3、  黒潮との違い
4、 「親潮」という名称の由来(語源)について
5、  出典・参考文献

 

 


1、 まとめ


自分が調べた限りでは、大きく3つの理由があった。

簡潔にまとめると、


1、風や冷却により海水がかき混ぜられ、下層にある栄養分が上昇するため

2、オホーツク海にある栄養分が流れ込むため

3、千島列島などを沿って流れてくる海水が、栄養分を運んでくるため


以上の理由により「親潮は栄養が豊富」、なのかもしれない。

 

 

 

 

2、 まとめの具体的な説明

 

2-1、「風や冷却~」について
 2-1-1、補足説明:「深層循環の湧昇」について
 2-1-2、補足説明:「中層(200~1000m)にある栄養塩」について

2-2、「オホーツク海~」について
2-3、「千島列島など~」について

 

親潮について気象庁のウェブサイト)
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/hakodate/knowledge/oyashio.html
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/shindan/sougou/html_vol2/2_2_3_vol2.html

かなり詳しい説明。

 



2-1、

「風や冷却によって海水がかき混ぜられて、下層にある栄養分が上昇するため」について


冬になると、北西から吹きこむ季節風(冬季モンスーン)により、
海水の表層(0m~200m)がかき混ぜられる*1
すると、中層(200~1000m)・中深層(200~?m)*2 にある栄養塩(栄養分のこと)*3 が上昇し、
表層にも栄養が行き届く *4

また、海面が冷えると重くなって下に沈む。
そのときも、中層にある栄養塩がまき上げられる。
ただし、親潮の元になる海水は塩分が低いため、あまり沈みこまない *5
なので、結局この冷却による沈みこみが、どのくらい海水の攪拌に影響を与えるのか、
調べたけれどよくわからなかった。

そして、冬にこれらのことが起こり、やがて春になると日射量が増える。
すると、豊富な栄養塩によって植物プランクトンが大増殖する(スプリング・ブルームという)。

 

 

 

・補足

 

2-1-1、

本や研究機関のウェブサイトには、
「深層循環 *6 の湧昇(ゆうしょう)により、表層に栄養塩が増える」と書いてあるものが多い。
ただ、北太平洋での深層循環の湧昇は、2000~3000mぐらいまでらしい *7

風によって混ざる海水は、せいぜい1000mぐらいまで。
なので、2000mあたりの栄養塩が、どのくらい表層に届いているのか、調べたけれどよく分からず *8
確信が持てなかったので、上記のまとめには「深層循環の湧昇」とは書かなかった。
ちなみに、現在それについて調べている研究機関もあるみたい *9

もしかしたら、その2000mあたりに湧きあがった栄養のある海水が、
さらに上層の攪拌によって、表層に上がっているのかもしれない。
つまり2段階になっているのかも。

 



2-1-2、

先程、「中層(200~1000m)にある栄養塩」と書いたが、自分はこれが気になっていた *10
ふつう、栄養分は海底などに沈んでいるものだと思っていたので、違和感があった。
だが、気象庁のサイトにある栄養塩の鉛直分布の表でも、200m以深から栄養塩が増えている *11

そこで、なぜ比較的浅い場所にも栄養分があるのか。
調べてみた。

1つは、
200m以下は、光が届かないため(無光層)、光合成が必須の植物プランクトンがあまりいないこと。
もう1つは、海中のバクテリア(細菌)などによって、
沈降する有機物(プランクトンの遺骸や糞 *12 )が、海底へ落ちるまでに分解され *13
無機物(栄養塩)となり、200~1000mでも漂っていること。

つまり、200m以下は、植物プランクトンがほとんどいないため、
バクテリアにより分解された無機物(栄養塩)がほとんど消費されない。
そのため、200~1000mの中層・中深層であっても栄養分が存在する、と思う。

ちなみに、表層でも有機物は無機物に分解されるが、
植物プランクトンなどによってすぐに消費される *14
そのため、あまり存在しない。

もちろん、海底にも、沈降した有機物が分解されてできた無機物(栄養塩)はたくさん存在している。
ただ、それらがどれほど表層まで届いているのか、調べたけれどわからなかった。

 

 


2-2、

オホーツク海にある栄養分が流れ込むため」について

オホーツク海アムール川などから栄養(栄養塩、鉄)が流れ込む *15
そのため、栄養が豊富になる。

 


2-3、

「千島列島などを沿って流れてくる海水が、栄養分を運んでくるため」について

親潮を含む海流の「北太平洋亜寒帯循環」(反時計回り)が、
アリューシャン列島やカムチャッカ半島、千島列島を沿って流れてくる。
そのとき、沿岸に渦 *16 ができ *17 、栄養塩が巻き上がる。
あと、川から栄養塩が流れ込むのもあると思う。

沿岸では他に「沿岸湧昇」という現象も起こるらしいが、
大陸の東岸(黒潮など)では起こりにくいらしい *18

 

 

 


3、 黒潮との違い

親潮と同じく、黒潮の200m以深にも栄養塩は存在している *19
ただ、表層が温かいため、下層には沈みこまず、攪拌(鉛直混合)があまり起こらない *20
よって、表層にはあまり植物プランクトンが増えない。


あと、鉄の増減にも影響されているらしい *21
親潮には鉄が豊富だが、黒潮にはほとんどない。

ただし、日本列島に沿って流れることで、先程書いた渦が起こり、
北上していくごとに栄養塩が増えていき、植物プランクトンも増えていく *22


まとめると、

黒潮親潮の違いは、鉛直混合が起こりやすいか否か、栄養分が流れ込むか込まないか、など。
共通点としては、沿岸にそって流れるため、渦ができること。

 

 

 

 

4、「親潮」という名称の由来(語源)について


残念ながら、ハッキリとした由来は不明。


自分がネットで調べた限り、
語源についての最も古い言及は、昭和13(1938)年の『科學』の8巻10号にて *23

語源については「よく分らない」と書いてある。
また、
「親即ち東北地方沿海の海の幸を涵養する源となる寒冷な寒流の意味で名づけられたものか?
東北地方では“雪しろ水”といふ名は昔からあつたやうであるが
親潮の稱呼(しょうこ?)がいつの頃からかも分らない.(以下略)」とある。

その後、同じ執筆者(宇田道隆氏)が1949年に著した本 *24 では、
親潮といふ名は、東北地方の漁師などが言ひ出したものと思はれる。
『親』は養ふといふ意味があつて、魚や海藻などの海の生物を養ひ育てる、
榮養分の多い潮といふ風に解釋することが出來る。」とも書いている。

 
また、「親潮」と記された最も古い文献は、
これまたネットで調べた限りでは、明治20(1887)年の『東洋學藝雜誌』の4巻74号 *25

p.665に「(中略)俗ニ親潮ト申シマス」と書いてある。
第一高等中学校の教諭による講談での発言、とのこと。

かなり古い言葉みたい。江戸時代の頃からあった名称だろうか?
調べようと思ったけれど、江戸時代の文献や崩し字については明るくないので、
これ以上は辿れませんでした。無念。

 

 

 

 5、 参考文献・出典(順不同)

 
『海の教科書 波の不思議から海洋大循環まで』(柏野祐二、ブルーバックス B-1974、2016)

『日本の海はなぜ豊かなのか』(北里 洋、岩波科学ライブラリー188、岩波書店、2012)

深層水「湧昇」、海を耕す!』(長沼毅、集英社新書 0363G、2006)

『森が消えればも死ぬ 陸と海を結ぶ生態系』(松永勝彦、ブルーバックス B-977、1993)

『海水の疑問50 みんなが知りたいシリーズ4』(日本海水学会編、成山堂書店、2017)

『はじめての海の科学 JAMSTEC BOOK』(JAMSTEC Blue Earth 編集委員会編、発行:ミュール、発売:創英社/三省堂書店、2008)

『海洋生物学 地球を取りまく豊かな海と生態系』(Philip V.Mladenov、窪川かおる訳、丸善出版(サイエンス・パレット022)、2015)  

 

 

*1:風などによる海水の循環のことを風成循環という。1000mぐらいまで影響を与えるとも。(『海の教科書』p.146、pp.169-170)

*2:水深の各層の名称や深さは、本などによって違い、厳密な定義は無さそう。ちなみに、0~200mは表層、または有光層といい、200~1000mは、トワイライトゾーン(透光層・薄光層)とも呼ばれる。(『日本の海はなぜ豊かなのか』p.65、NHKスペシャル『ディープ・オーシャン 潜入!深海大峡谷 光る生物たちの王国』2016年8月28日)

*3:ケイ素(ケイ酸)、リン(リン酸塩)、窒素(硫酸イオンなど)などの塩類。(『海の教科書』p.106)

*4:『栄養塩は、冬季の強い季節風によって海がかき混ぜられることにより海の深層から表層へ運ばれたり、岸に沿って流れる海流による上昇流、河川水等の影響によって表層へ供給されます。』http://www.eorc.jaxa.jp/earthview/2004/tp040108.html「日本近海の海洋植物プランクトンの春季大増殖」JAXA一宇宙技術部門

*5:『海の教科書』p.116、pp.170-171

*6:海底を巡る海流のこと。その後、いくつかの大洋で浮上する。熱塩循環、子午面循環とも。ただし、最近では南極で作られた深層水の影響力が最も強いことから「南極オーバーターン」とも呼ばれる。(『海の教科書』p.174)

*7:http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/deep/np_deep.html(「太平洋における深層循環」気象庁

*8:川邉正樹氏によると、風による海水の攪拌は2000mまで起こる、とも。https://www.jcca.or.jp/kaishi/251/251_toku3.pdf(2ページ目の「表中層循環」の項目に書いてある)

*9:http://omix.aori.u-tokyo.ac.jp/overview/longversion/「海洋混合学の創設」

*10:どこかで「栄養塩は200~1000mにもある」と記載されていたが、出典を忘れてしまった。ごめんちゃい。

*11:http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/shindan/sougou/html_vol2/2_2_3_vol2.html#fig2_2_3-5.jpg親潮の水温と化学成分」気象庁

*12:「デトリタス」という。また、それが沈降していく様子は「マリンスノー」と呼ばれる。どちらも言葉の響きがカッコいい。

*13:『日本の海はなぜ豊かなのか』pp.14-16・pp.57-58、『深層水「湧昇」、海を耕す!』pp.65-67

*14:深層水「湧昇」、海を耕す!』pp.106-107

*15:http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/shindan/sougou/html_vol2/2_2_3_vol2.html親潮とその起源」気象庁https://ci.nii.ac.jp/naid/130005457057/オホーツク海親潮の巨大魚附林としてのアムール川流域」、http://www.eorc.jaxa.jp/earthview/2004/tp040108.html「日本近海の海洋植物プランクトンの春季大増殖」JAXA一宇宙技術部門

*16:メソスケール渦、またはサブメソスケール現象による渦

*17:『海の教科書』pp.139-140

*18:深層水「湧昇」、海を耕す!』pp.108-110

*19:深層水「湧昇」、海を耕す!』pp.113-114、『森が消えればも死ぬ』p.42

*20:「どうして表層の海水と深層の海水は混ざらないの?:表層の暖かい海水と深層の冷たい海水の間、深さ数百mくらいに温度が急激に変化する「水温躍層」という層があります。暖かい水は軽く、冷たい水は重いので何か強い力でかき混ぜられない限り両者は混じることはありません。風呂の水を温めると上が熱く、下が冷たい状態になり手でかき混ぜないとちょうどよい温度にならないことと同じです。」 『はじめての海の科学』p.21

*21:深層水「湧昇」、海を耕す!』pp.114-120、『森が消えればも死ぬ』p.88

*22:NHKスペシャル黒潮 ~世界最大 渦巻く不思議の海~」2017年9月17日、サイエンスZERO「巨大海流 黒潮」2018年1月21日

*23:http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/library/maincollection/uda-bunko/resources/pdfs/gyouseki/107.pdf(2ページ目の左上に書いてある)

*24:『海と魚 : 潮目の話』(岩波書店http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168625/55

*25:https://books.google.co.jp/books?id=YiM7AQAAMAAJ&vq=%E8%A6%AA%E6%BD%AE&hl=ja&pg=PP763#v=onepage&q=%E8%A6%AA%E6%BD%AE&f=false